会計事務所経営における成功のポイント
世の中の変化のスピードが、急激に加速している。デフレ社会が到来し、大手家電販売店がどんどん都心に進出する一方で、百貨店の撤退が相次いでいる。アマゾンがキンドルを発売し電子書籍の流れをスタートしたかと思えば、アップルはi-Padを発売するといった具合だ。
今や、価格が市場の支配権を左右する時代。だからこそ、各社はその流通網の覇権争いにしのぎを削っている。その一方で、エコ社会に向けて大手総合商社や大手メーカー連合の次世代送電網の大型プロジェクトが、次々と立ち上がっている。
こういった時代だからこそ、情報収集はより重要になってくる。いろんな情報チャネルを築き、多面的な情報を集め、分析し、実行に移すことは組織の盛衰に関わるテーマだ。今回の巻頭特集では、会計事務所を経営するにあたっての、重要なカテゴリーを設定し、そのカテゴリーごとの成功ノウハウ項目を計百項目集めた。どの項目についても、実際の成功事例に基づいている。そもそも今回の企画は、あんてなのある会員会計事務所の所長の一言がきっかけだった。
「以前のように、顧問先の企業からどんどんお客さんを紹介してもらえた時代は過ぎ去り、これからは自分達で働きかけていかなければならない時代です。ホームページなどのIT技術を活用した方法、人脈を活用した方法など、いろんな方法があると思うんです。
しかし自分達では一生懸命やっていても、それがベストな方法かどうかわからない。やはり気になるのは、やはり他の会計事務所のやっていることです。当然、他の会計事務所で成功したやり方を自分の所に導入してすぐ成功するとは思いません。それぞれの事務所の体制や体質の違いは、必ずありますから。
それでもどんな方法があるかを知るだけでも、大きな前進です。そういった情報収集力が今後の会計事務所の成長戦略の大きな柱になってくると思います」
この先生と組むとメリットがある。そういう顧客が増えている
月次決算の税務業務は当然のこと、会計事務所にはいろんな知恵袋になって欲しいという企業経営者のニーズは、年々高まっているようです。最近では銀行もそうしたニーズに応えるサービスをし始め、自行の顧客同士を引き合わせ、“ビジネスマッシング”の仕掛け人としてのバリューを発揮しているところもあります。
値段は、価値に比例します。こういった経済不況の時代だからこそ、サービスの根拠を明確にし、値崩れを起こさないことは会計事務所の経営上非常に重要です。逆に「○○をやってくれるなら、月額○万円でもお支払いする」という顧客は優良顧客であると言っていいでしょう。サービスの充実は勿論ですが、何でも少しでも安くという時代の流れの中で、その価値に対して対価を払う顧客をどれだけ獲得できるかが今非常に重要になってきているのです。
新規の獲得と紹介の両立。広告戦略と顧客満足が鍵
磐石な顧客基盤を構築するには、コンスタントな新規顧問先の獲得と既存の顧問先の紹介を両立させる必要があります。
まず新規の顧問先の獲得ですが、これは広告・宣伝が大きなポイントになってきます。これから設立、もしくは設立して間もない会社と会計事務所変更組が、ターゲットです。後者については、現状の会計事務所に不満を持っている場合と、先生が高齢で引退するので、別の会計事務所を探している場合があります。
設立したての会社の場合、月に払える顧問料は少ないですが、成長意欲が高いため大きく化ける可能性があります。経営者も比較的若く、エネルギッシュです。一方会計事務所変更組の中には、高額な顧問料を払っている顧問先も含まれるので、経営的には魅力的です。ただ変更組には、同じ業種の知識があるか、テーマとなるソリューションを持っているかといった付随条件がついてくるケースが多いので、顧問先を獲得するまでの難易度は高いでしょう。
広告設計のポイントですが、これは大きく2つあります。それは、“メディアの選定”と“表現内容”です。設立したての会社の場合、例えばオフィス探しや求人関係といった媒体が挙げられます。会計事務所変更組には、いろんなケースが考えられますが、高度な技術を表すキーワードとその実績のPRは、効果があるようです。資金繰りや相続対策関連の媒体をリスト化し、効果測定しながら新規顧客獲得の導線を絞り込んでいくのも、一つの手法でしょう。
ここで重要になってくるのは、他の会計事務所との差別化です。“何を強みとするのか”を設定しないと、その効果は半減します。自分の会計事務所のコンセプトが見えれば、必然的にターゲット像も決まってきます。コンセプト→ターゲット像→打ち出し方→媒体→効果のあるものに絞り込みという一連の流れが確立してこそ、新規顧客獲得のサイクルが稼動するのです。
リスティング広告の場合、キーワードの選定とランディングページと言われるサービス紹介ページの表現の仕方で、効果は全く変わってきます。どんなアプローチが効果が出るのか、まずは事例が豊富に紹介されている書籍を購入し、研究してみることをお薦めします。
次に顧客紹介による新規顧客獲得の促進には、顧客満足が必要不可欠です。ポイントとしては、資本関係を持つ戦略的子会社が生まれる企業もしくは成長分野の企業を顧客ポートフォリオに意識して取り込むことで、将来の種を仕込んでいくのも一つの手法でしょう。税務会計的視点での経営提案だけでなく、多岐に渡る提案をするためにも常日頃の成長領域の情報収集は非常に大切です。
変化のスピードが加速する今、会計事務所の経営スタイルも多極化が今後より一層進むと思われます。10年後の自分の会計事務所の姿をイメージできるかどうか、そこから始めてみてはいかがでしょうか。
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